
初めに
現在アマゾンプライムで絶賛放送中の「ザ・コメデュアル」。そのコンセプトは以下のようになっています。
盟友。ライバル。憧れ。リスペクトし合う2組が互いに愛するネタをリクエスト!人生を変えたネタ、名作と崇めるネタ、十数年封印していたネタ、超長尺ネタ、とにかく死ぬほど笑ったネタ。人気・実力揃った豪華20組の、ここでしか見られない究極ネタと、互いの芸人人生とネタを語りつくしたディープトークが詰まった、これまでにないエモーショナルで挑戦的なネタ×トーク番組。
アマゾンプライムビデオ公式より引用
その第一話で放送された、「令和ロマン」×「霜降り明星」について、それぞれ関係性を掘り下げていきます。作中でもそこまでお互いの深い部分は触れていなかったなかで、どういう背景、関わりがあるのか、調べていきたいと思います。
また同じく第一話でネタを披露していた「ダイアン」×「かまいたち」についてもその共通点についてまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
共通点①M1チャンピオン
霜降り明星も令和ロマンも、年若くしてM1チャンピオンになっています。その若き才能同士が惹かれ合うのも必然的なのでしょう。霜降り明星と令和ロマン、それぞれのM1の歴史についても少し掘り下げていきます。
霜降り明星のM1ヒストリー
霜降り明星は2013年1月に組んだコンビであり、2018年に優勝しています。史上最年少優勝であり、平成生まれの初の優勝者としても話題になりました。また、一時的なブームとなった「第七世代」を先駆的存在になったことでも有名であると思います。そんな二人のM1過去実績を振り返ってみましょう1。
年度 | 結果 |
2015年大会 | 3回戦敗退 |
2016年大会 | 準決勝敗退 |
2017年大会 | 準決勝敗退 |
2018年大会 | 優勝 |

優勝直後のインタビューでは、若手の時代の到来を想起させるような、新しい風を吹かすつもり満々の言葉が多くありました。粗品は、「お笑い界の高齢化がどうとか言われている中で、自分たちみたいな20代のコンビが優勝できたのはとても気持ちがよかった」と語り、若手ならではの可能性について言及していました。また、「結果発表後、せいやと二人きりになるタイミングが一番嬉しかった」と相方への想いを語る部分もありました。
一方、せいやは「平成最後に優勝できるなんて運命を感じます」と語っており、「僕らの世代と言われるように、霜降り明星から次の世代が始まったと言われるようになりたい」と、将来への意気込みを表明。さらに、優勝の実感について「何が起こったのか分からない。今もこれがドッキリだといわれても受け入れられるくらい夢見ているみたいです。」と興奮を露わにしていました2。
令和ロマンのM1ヒストリー
令和ロマンは2018年4月にプロとしてコンビを結成しているものの、NSC時代からM1には出場している、かつ、2023年に優勝してもなお2024年大会に出場したりなどと、M1歴自体は霜降り明星よりも多く出場しています。そんな二人のM1の過去実績は以下の通り3。
年度 | 過去実績 |
2017年大会 | 2回戦敗退 |
2018年大会 | 準決勝敗退 |
2019年大会 | 準々決勝敗退 |
2020年大会 | 準々決勝敗退 |
2021年大会 | 準々決勝敗退 |
2022年大会 | 準決勝敗退 |
2023年大会 | 優勝 |
2024年大会 | 優勝 |


令和ロマンの優勝後インタビューは霜降り明星とは違い、どう戦ったかについての観点が多く記述されているのが印象的でした。2023年ではネタを4本用意していたことや、2024年では決勝で披露したネタが10、11月に完成したという話など、ネタについて分析過程などを多く語っていらっしゃいました。
共通点②分析能力の高さ
霜降り明星も令和ロマンも、そのM1に対する熱量が故に、詳細にお笑いの分析を行っていた、という共通点が挙げられます。
令和ロマンのくるまは特にその分析が一つの個性となっており、2024年には自身の分析を書籍化し、「漫才過剰分析」を出版しています。ちなみにその「漫才過剰分析」の中でも、いかに霜降り明星がくるまに影響を与えたかについて言及されているので、興味を持った方がいればぜひ、購入を検討してみてはいかがでしょうか。


いわずもがなくるまは、自身のYouTube上でもあらゆる考察動画をあげています。質も分析量もすごく、改めて高い分析能力を感じ取れると思います。考察系動画の一例をあげておきますので、ぜひご覧ください。
一方で、そこまで分析という言葉が似合うわけではない霜降り明星のお二人ですが、実はM1に向けては相当な考察を行ったという過去があります。
「僕はM-1の休止中に行われていた2013年、’14年の『THE MANZAI』を有料配信で全部見て、予選を通過した50組の漫才を数値化したんです。たとえば、最初のボケまでの秒数や手数といった要素を数値化して折れ線グラフにする。そうしたら、決勝に勝ち残った漫才には一定のパターンがあることに気づいたんです」
Number Web [必然の最年少優勝]霜降り明星 粗品「ホワイトボードに描いた勝利のグラフ」4
上記にある通り、粗品もまたM1で結果を残し、最速でスターになるために過去のM1漫才を振り返って自身のネタ作りに反映していたことが分かります。実際に当時の最年少チャンピオンになっていることが、その分析の精度の高さを表す証左になっていることでしょう。
共通点③お笑いの土壌
この二組に関しては学生時代から深くお笑いと関わっていたという共通点が挙げられます。令和ロマンは二人とも慶應義塾大学のお笑いサークル「お笑い道場O-keis」の所属であり、当時は「魔人無骨」というコンビ名で活動をしていたとのこと。くるまに関してはそのまま慶應大学を中退してお笑いの道に進んでいますし、当時の大学お笑いの頂点を決める大会、NOROSHIにも出場する等の経歴もあるため、真剣に取り組んでいた様子がうかがえます5。
霜降り明星に関してはより早くから、お笑いの世界に足を踏み入れていました。粗品は高校生時代からR1グランプリに出場しており、高校三年生の頃には、アマチュアながら準決勝に行くなど、すでに頭角を現していました6。一方せいやに関しては小学生の頃から漫才を人前で披露しており、中学、高校もアマチュアとしてテレビで漫才したり、大会に出場する等して経験を積んでいました7。
どちらもプロになるタイミングよりも前からお笑いを実践してきたというバックボーンが今の実績や地位に繋がっているのかもしれないですね。
共通点④漫才のスタイル


霜降り明星も令和ロマンも、漫才のスタイルが比較的似通っている点において、共通点があるといえるでしょう。お互いの漫才の特徴として、漫才コントが強いという点が挙げられると思います。どちらのコンビのボケ側もひょうきんな印象から言動で笑いを取ることもできるため、動きを取り入れやすい漫才コントが採用されることが多い気がしています。霜降り明星は優勝したときのネタは2本とも漫才コントであり、令和ロマンは両刀スタイルでありながらもやはり爆発を生んでいたのはいずれの年も2本目であったのかなと推測しております。
終わりに
今回は霜降り明星と令和ロマンの共通点についてまとめてみました。これだけでも多くの共通点があり、コメデュアルでコラボレーションをするのも必然的に思えます。お笑い若手界のホープでもあるお二方の今後の活躍にぜひ期待しましょう。
引用先一覧
- M-1グランプリ公式サイト「霜降り明星」(最終閲覧:2025年1月9日)
https://www.m-1gp.com/combi/1197.html ↩︎ - ザテレビジョン「【M-1優勝会見全文】史上最年少王者・霜降り明星インタビュー『僕らの世代を作っていきたい』」(最終閲覧:2025年1月9日)
https://magazine.fany.lol/200206/ ↩︎ - M-1グランプリ公式サイト「霜降り明星」(最終閲覧:2025年1月9日)
https://www.m-1gp.com/combi/5761.html ↩︎ - Number Web 「[必然の最年少優勝]霜降り明星 粗品『ホワイトボードに描いた勝利のグラフ』」
https://number.bunshun.jp/articles/-/855576 ↩︎ - 慶應塾生新聞「慶大出身お笑い芸人『魔人無骨(令和ロマン)』の魅力に迫る」
https://www.jukushin.com/archives/35901 ↩︎ - トレンドニュース「【インタビュー】R-1王者、粗品の圧倒的な”即応力”!落ちを本番中に変えていた」
https://web.archive.org/web/20190315101915/https://trendnews.yahoo.co.jp/archives/622774/ ↩︎ - Kindai Picks「史上最年少 M-1王者・霜降り明星せいやのルーツに迫る!」https://kindaipicks.com/article/001659
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